「コーポレートサイトを作り直したい。まずは参考になるサイトを集めてみよう」
コーポレートサイトの制作・リニューアルを検討するとき、多くの担当者が最初に行うのが「参考サイト集め」です。検索して気になるサイトをブックマーク、競合のサイトをチェック、「おしゃれなコーポレートサイト○選」という記事を読む——。
しかし、参考サイトをたくさん集めても「どれが自社に合うかわからない」「制作会社に渡したがイメージと全然違うものが上がってきた」という結果になることは少なくありません。その原因は、「参考サイトの見方」にあります。
この記事では、コーポレートサイトの参考を正しく活用するための「見るべきポイント」「業種別の探し方」「集めた後にすべきこと」を体系的に解説します。
更新日:2026年6月15日
監修者:大森 潤(ウェブ担さん・Web運用担当)
「参考サイト集め」で多くの人が陥る3つの失敗
失敗①:大企業・有名企業のサイトを参考にしてしまう
「Apple」「Sony」「トヨタ」のような大企業のサイトは確かに洗練されていますが、中小企業のコーポレートサイトの参考には不適切な場合がほとんどです。大企業のサイトは専任デザイナーチームと数千万円の予算で作られており、中小企業がそのデザインを実現しようとすると予算が合わないか、表面だけ真似した「なんとなくそれっぽいが安っぽい」サイトになりがちです。参考にすべきは「自社と近い規模・業種・目的のサイト」です。
失敗②:デザインだけを参考にして「なぜそのデザインか」を無視する
「このサイトのビジュアルがかっこいい」「このカラーが好き」という見た目の好みだけで参考サイトを集めると、そのデザインが「なぜ機能しているか」の理解なしに表面だけを真似することになります。たとえば「余白が多くミニマルなデザイン」が効果的なのは、ブランドの世界観を余白で表現したいターゲット顧客がいるからです。同じデザインを情報量の多いBtoBサービスに適用すると、「何をしている会社かわからない」という逆効果を生みます。
失敗③:参考サイトを集めることが「目的」になってしまう
参考サイトを100件集めても、自社の目的・ターゲット・KPIが決まっていなければ制作は前進しません。「参考サイト集め」は手段であり、目的は「自社のコーポレートサイトで成果を出すこと」です。参考サイトは「方向性を決めた後で、表現の参考として使う」ものです。方向性を決める前に参考サイトを集めると、見るたびに方向性がブレ、打ち合わせのたびに迷走につながります。
| ⚠️ 参考サイトを渡す前に「自社の目的」を言語化する 制作会社に参考サイトを渡す際、「このサイトのどの部分が・なぜ自社に合っていると思うか」のコメントなしにURLだけを渡すと、制作会社は「このサイト全体のデザインを真似してほしい」と誤解する可能性があります。「このサイトのファーストビューのシンプルな構成が、自社の製品をシンプルに見せたいという目的に合っている」のように、「どの部分を・なぜ」という理由を必ず添えてください。 |
コーポレートサイトの参考を見るときの5つのポイント——「好き嫌い」の前に確認すること
ポイント①:ファーストビューで「何の会社か」が3秒で伝わるか
サイトを開いて最初に見える画面(スクロールせず見える範囲=ファーストビュー)で「この会社は何をしている会社か」が3秒以内に理解できるかどうかは、コーポレートサイトのデザインにおいて最重要の評価基準です。参考サイトを見るとき、まずページを開いた瞬間に「何の会社か伝わるか」を確認してください。伝わるサイトは優れたファーストビュー設計の参考になります。
ポイント②:問い合わせ・採用など「目的のページ」にたどり着きやすいか
サイトの訪問者がどのような経路で「問い合わせ」「採用応募」「資料請求」などの目的のページにたどり着けるかを確認します。ナビゲーションメニューの構成・ページ内のリンクの配置・ページ下部のCTA設計を観察してください。「このサイトは問い合わせまで2クリックでたどり着ける」という発見が、自社サイトの設計に直接活用できます。
ポイント③:スマートフォンで見たときの表示品質
参考サイトは必ずスマートフォンでも確認してください。PCで美しく見えるサイトがスマホでは崩れていたり、ボタンが小さくて押しにくかったりすることがあります。特に確認すべき点は、ファーストビューの情報量・ナビゲーションの開閉しやすさ・フォントサイズの読みやすさ・CTAボタンの押しやすさです。
ポイント④:ページの表示速度
参考サイトを開いたとき、ページが表示されるまでに3秒以上かかる場合は「表示速度の問題がある参考サイト」と判断できます。逆に、大きなビジュアルを使いながら高速表示を実現しているサイトは、パフォーマンス最適化の優れた参考になります。Google Chromeのデベロッパーツール → Lighthouseでスコアを計測すると数値で確認できます。
ポイント⑤:「自社と目的・規模・業種が近いか」の確認
どれほどデザインが優れていても、自社と目的・規模・業種が大きく異なるサイトは参考として機能しません。参考サイトを選ぶ際は「このサイトと自社の共通点は何か」を言語化してください。
| 確認すべき共通点 | 確認の理由 |
| 業種・提供サービスの類似性 | 同業種のサイトはターゲット訪問者の期待値・競合環境が近い |
| 企業規模(従業員数・資本金) | 規模が近いほど予算感・情報量・必要なページ数が近い |
| 制作の目的(集客/採用/ブランド) | 同じ目的のサイトはデザインの方向性・CTAの設計が参考になる |
| ターゲット顧客層(BtoB/BtoC・年代) | ターゲットが近いほど、配色・フォント・テキストの設計が参考になる |
業種別・目的別のコーポレートサイト参考の探し方——質の高い参考を集める方法
方法①:Webデザインギャラリーサイトを活用する
Webデザインの優れた事例を集めたギャラリーサイトを活用すると、業種・デザインスタイル・制作年度で絞り込んで参考を探せます。
| ギャラリーサイト名 | 特徴・用途 |
| MUUUUU.ORG(むー) | 国内サイトに特化。業種別タグ・デザイン傾向でフィルタリング可能。中小企業の参考探しに最適 |
| SANKOU!(参考) | 国内サイト専門のデザインギャラリー。「企業・ビジネス」カテゴリで絞り込み可能 |
| Awwwards | 世界の最高水準のWebデザイン事例。ハイエンドブランディング型の参考に |
| Behance | デザイナーのポートフォリオサイト。デザインカンプ・コンセプト説明付きで制作背景がわかる |
| ビジュアル重視の収集・整理ツール。気になる画像をボードに集めてイメージボードとして活用 |
方法②:競合企業のサイトを体系的に確認する
自社と競合する企業のコーポレートサイトは、同業種のターゲット顧客に向けて設計されているため、参考として非常に価値があります。ただし「競合と同じデザインにする」ためではなく「競合との差別化ポイントを明確にする」ために参照してください。
競合サイトを確認する際のチェックポイント:
・強みとして訴求しているポイント(自社と被っていないか)
・ファーストビューのメッセージ(どんな言葉でターゲットに訴えているか)
・実績・数字の見せ方(どんな指標を前面に出しているか)
・CTAの文言・配置(問い合わせへの誘導方法)
・採用ページの有無・充実度
方法③:制作会社のポートフォリオから探す
発注を検討している制作会社のポートフォリオ(実績紹介)には、その会社が得意とするデザインスタイル・業種・規模感の事例が集まっています。気に入ったデザインがあれば「このような方向性を希望する」と伝えることで、制作会社との認識合わせがスムーズになります。
アイデアランプのポートフォリオでは、制作の背景となる課題・設計の意図・公開後の成果変化を「成果ストーリー」として公開しています。「なぜそのデザインにしたか」がわかるため、単なるスクリーンショット集とは異なる参考として活用いただけます。
方法④:同規模・同業種の企業サイトをリスト化して比較する
「自社と競合している企業または類似業種の企業のサイトを10〜20件リストアップして一覧で比較する」方法は、業界全体のデザイン水準・標準的なページ構成・差別化の余地を把握するのに効果的です。
比較の視点:
・ファーストビューのメッセージの傾向(業界共通のフレーズ・差別化できる言葉)
・ページ数・構成の平均(どのページが必須か)
・カラーパレットの傾向(業界のカラー慣習を把握して差別化するか同調するか)
・コンテンツの充実度(実績・事例・ブログの有無)
| ▶ 「自社に合う参考」を一緒に整理することから始められます 「参考サイトは集めたが方向性が決まらない」「制作会社に何を伝えればいいかわからない」という段階からでも、アイデアランプに無料相談いただけます。20年・1,200件の実績から、業種・目的・予算に合った方向性を提案します。 ▶ 無料相談はこちら(アイデアランプ) |
業種別「コーポレートサイトの参考で特に見るべきポイント」
製造業・メーカー
| 参考サイトで見るべき要素 | 理由 |
| 製品の見せ方(写真・仕様表・3Dビジュアル) | 製品の品質・精度を視覚的に伝える方法は製造業サイトの核心 |
| 技術力・品質管理の訴求方法 | ISO取得・検査工程・工場設備の見せ方が信頼性に直結 |
| 事例・導入実績の掲載形式 | BtoB製造業は実績の見せ方が受注判断に大きく影響する |
IT・Web・システム開発
| 参考サイトで見るべき要素 | 理由 |
| 技術スタック・使用言語の訴求方法 | エンジニア採用・技術受託の文脈で重要な信頼性要素 |
| 開発実績・プロジェクト事例の深さ | 「何を作ったか」だけでなく「どんな課題を解決したか」まで書かれているか |
| 採用ページの充実度(エンジニア向けコンテンツ) | IT企業は採用競争が激しく、働く環境・技術文化の発信が差別化になる |
サービス業・コンサルティング・士業
| 参考サイトで見るべき要素 | 理由 |
| 代表者・担当者の顔出し・プロフィールの充実度 | 「誰に頼むか」の判断に人物情報が直結する業種 |
| 実績・解決事例の具体性(数値・業種・期間) | 「どんな課題をどう解決したか」が受注前の主要な判断材料 |
| 問い合わせまでの導線のシンプルさ | 初回相談のハードルを下げる設計が受注率に直結 |
飲食・小売・BtoC
| 参考サイトで見るべき要素 | 理由 |
| 商品・空間の写真クオリティと配置方法 | ビジュアルが購買意欲・来店意欲に直接影響する |
| Googleマップ・予約システムとの連携 | 地域検索・来店導線の設計は集客の核心 |
| スマートフォンでの体験設計 | 検索→来店のほぼすべてのプロセスがスマホ上で完結する業種 |
採用特化(スタートアップ・急成長中の企業)
| 参考サイトで見るべき要素 | 理由 |
| 「なぜこの会社か」を伝えるコンテンツ設計 | 大企業に待遇で勝てない企業は「共感・ビジョン」で勝負する |
| 社員インタビューの質・リアルさ | 「実際に働いている人」の生の声が求職者の応募判断に直結 |
| エントリーフォームへの到達しやすさ | 採用応募の導線が1〜2クリックで到達できるか |
コーポレートサイトの参考を集めた後にすべきこと——制作をスムーズに進める3ステップ
STEP 1:参考サイトに「なぜ・どこが・どのように」のコメントを付ける
集めた参考サイトひとつひとつに、以下のコメントを添えてください。
| コメントの種類 | 記載例 |
| どこが参考になるか | 「ヘッダーのナビゲーション設計が直感的でわかりやすい」 |
| なぜ自社に合うと思うか | 「自社も同じく複数サービスを持っており、整理の仕方が参考になる」 |
| どのように取り入れたいか | 「同じレイアウトではなく、ナビゲーションの整理の考え方を取り入れたい」 |
| 取り入れたくない点 | 「カラーはこのサイトより明るいトーンにしたい」 |
STEP 2:参考サイトから「自社が大切にしたい要素」を言語化する
3〜10件の参考サイトを集めたら、それらの共通点・自社が特に重視する要素を言語化します。この作業が「デザインブリーフ(設計の方向性書)」になり、制作会社との認識合わせを大幅に効率化します。
言語化すべき項目:
・全体のトンマナ(カラーの方向性・フォントの雰囲気・余白の多少)
・ファーストビューで伝えたいこと(サービスの概要/ブランドの世界観/採用メッセージ)
・競合との差別化として前面に出したいこと
・避けたいデザインの要素(「こういうのは嫌」も設計情報として有効)
STEP 3:「目的・ターゲット・KPI」を先に決めて参考サイトを見直す
STEP 1・2が完了したら、改めて「自社の目的・ターゲット・KPI」に照らして参考サイトを絞り込みます。「見た目が好き」という理由だけで残った参考は、目的に合わない場合は外してください。
制作会社に渡す参考サイトは3〜5件に絞り込み、各サイトへのコメントを付けた状態で共有することが理想的です。「100件の参考」より「コメント付きの5件の参考」のほうが、制作会社はより的確な提案ができます。
コーポレートサイトの参考を制作会社に渡す前のチェックシート
参考サイトの選定
□ 参考サイトは自社と「業種・規模・目的」が近いサイトを選んでいる
□ 大企業・有名企業のサイトだけで構成されていない
□ 3〜5件に絞り込んでいる(10件以上は多すぎる)
□ スマートフォンでも確認した
コメントの準備
□ 各参考サイトに「どこが・なぜ・どのように」のコメントを付けた
□ 「取り入れたくない点」も記載した
□ 参考サイトから「自社が大切にしたい要素」を3〜5点リストアップした
方向性の言語化
□ 全体のトンマナの方向性を言葉で説明できる
□ ファーストビューで伝えたいことを決めた
□ 避けたいデザインの要素を明記した
□ 自社の目的・ターゲット・KPIを数値で設定した
よくある質問(Q&A)
Q1. コーポレートサイトの参考は何件用意すれば良いですか?
A. 3〜5件が最適です。1〜2件では情報が少なすぎてデザイナーが方向性を掴みにくく、10件以上では方向性が散らかりすぎて制作がブレます。「コメント付きの3件」は「コメントなしの20件」より制作会社には遥かに価値があります。
Q2. 競合サイトを丸ごと真似することはできますか?
A. デザインは著作権で保護されており、既存サイトのデザインを無断でコピーすることは著作権侵害になります。「参考にする」のはあくまで「情報設計のアイデア・デザイン要素のインスピレーション」の範囲に留める必要があります。また実際に競合と酷似したデザインにすることは、ブランドの差別化観点からも推奨できません。
Q3. 「参考になるサイトが見つからない」場合はどうすれば良いですか?
A. Webデザインギャラリーサイト(MUUUUU.ORGなど)で業種タグを使って絞り込む方法が有効です。それでも見つからない場合は「自社が嫌だと思うサイト」を集めて「こういうデザインにはしたくない」というネガティブな参考として活用する方法があります。「嫌なもの」がわかると「好きなもの」の方向性も明確になります。
Q4. 参考サイトなしで制作を依頼することはできますか?
A. 可能です。アイデアランプでは参考サイトがない場合でも、ヒアリング・競合調査・ペルソナ設計を通じて「自社に最適な方向性」を提案するプロセスを持っています。ただし参考サイトがある場合より打ち合わせ回数・制作期間が増える傾向があるため、可能であれば最低1〜2件でも準備いただくと効率的です。
まとめ
・参考サイト集めの失敗は「大企業を参考にする」「デザインだけ真似する」「集めること自体が目的になる」の3パターン。方向性を決めてから参考を集める順番が重要
・参考サイトを見るときは「ファーストビューの伝達力」「目的ページへの導線」「スマホ表示品質」「表示速度」「自社との共通点」の5点を意識する
・参考サイトを探す場所はWebデザインギャラリー(MUUUUU.ORGなど)・競合企業のサイト・制作会社のポートフォリオが有効。同業種・同規模のサイトを優先して集める
・業種によって参考で見るべきポイントは異なる。製造業は製品の見せ方、IT企業は開発実績の深さ、サービス業は人物情報と事例の具体性を重点的に確認する
・参考サイトを制作会社に渡す前に「どこが・なぜ・どのように」のコメントを付け、3〜5件に絞り込む。コメント付き3件はコメントなし20件より価値がある
・参考サイト集めの最終ゴールは「自社の目的・ターゲット・KPIに照らして、どんなサイトを作るべきか」を言語化すること
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